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믿어요~~君は信じてくれる? その1
ぱーと4です。






믿어요~~君は信じてくれる?


「お兄ちゃん。もう2時だから店じまいしようよ!アイス食べたいな」
「お前なぁ~たかが3時間で疲れてんのかよ~浪人生は体力無いな」
「また傷口に触れるんだから!もう手伝いに来ないよ!」
「何言ってんだよ~勝手に息抜きに来てるんだろ?予備校サボってんじゃないぞ」

たまには昼間に外出ないと、息できなくなっちゃうよ。
夏休みに青々していた街路樹が、少しずつ秋色に染まってきたね。
兄貴がオフィス街にカレー弁当を出張販売するようになってから1年、
お客さんも付いてきてお店は軌道に乗ってきたところ。
高校の時から暇があると手伝ってるんだけど、
人と会話ができるこのバイトは結構気に入ってるんだ。


「よっっ!繁盛してる?」
「いらっしゃい・・・・あれ、久しぶりじゃん」
兄貴の友だちでもあり、義姉の親友でもある彼女は、たま~に大量買いしてくれる大事なお客様!
いつも中途半端な時間に来ては、残り物全部買ってくれるし。
「奥様はお元気~?ご無沙汰しちゃってるわね」
「最近連絡無いって寂しがってたよ。いつでもいいからさ、電話してやってよ」
「Babyがいると大変でしょ、迷惑かなって思っちゃって」
「気が紛れていいんじゃないかな。なんだ今頃昼飯か?」
「そうなのよ~食べそびれちゃって。ええと、カツカレーできる?」
「はいっ♪いくつですか~?」
「あれ、姫は今日も手伝いなの?そろそろ追い込みじゃない?」
「もう、“姫”はやめてよぉ~!!」
その時、後ろにきれいな男の子がいることに気づいた。熱心にメニューを見ているので気配すら感じなかったよ。お姉さんの恋人にしちゃあ若過ぎだな(笑)

「10人分欲しいんだけど、すぐできる?」
「ええ?今カツ4枚しかないんだよな。10分待てる?」
「10分か~んんん、せっかく来たんだし、頼むわ。なるべく早くね!」
兄貴は早速揚げ物の準備。あ~今日もお姉さまのおかげで最後にひと稼ぎできたね♪

「姫のさ、あれ評判良いんだよねぇ~」
「ええ?何ですかぁ~?褒められるなんてなんだか怖いよ(笑)」
「何ってあれよ、ほらこの間もさ・・・」

その時、彼女の携帯が鳴った。作ってて、とでも言うように手をひらひらさせながら店から離れていっちゃった・・・そして、お店の前にそのきれいな彼と二人だよ。え~と、聞かなくちゃいけないことは・・・
「お兄さん、これ全部別容器にします?」
「べつようき・・・・」
「へ?」
「あ、僕まだ日本語よく分からなくて」
え?なになに?日本人じゃないの?
「ごめんなさ~い、え~と、なんて言えばいいのかな・・・ゴハンとカレーを別々のハコに入れると、ハコのお金がいるんですよ~。すぐに食べるならご飯の上に直接かけちゃうんだけど、それならこの金額から20円引きます。この値段より安くなるって事。」
「ああ~・・・じゃあいっしょでいいです!」
どうしようか、何を話せばいいかな・・・。
「日本に来てどのくらい?」
「1年半です」
「え~1年半でこんなに喋れるの?すごいなぁ~!私今でもきれいに日本語しゃべれないよ(笑)」
「質問していいですか?どうして僕のことお兄さんって言うんですか?僕のほうが年上ですよね?」
「え~と、そうねぇ・・・お客さんって言えばいいんだけど、それじゃあちょっと堅いじゃない?親しみを込めてるつもりなんだけど。」
「かたい?」
「かたい、かたいっておかしいかな・・・敬語は親しみやすさが無いじゃない?
ほら、フレンドリーって言うのかな?仲がいい雰囲気」
「ああ!」
「お?英語ならいける?私はこれ以上ダメだけど(笑)」
「僕も英語はもっとダメです(笑)」
笑うと無邪気な顔。私より若いんじゃないの??
「勉強苦手ってことね!一緒じゃん♪でも本当に年上?私背がちっちゃいから若く見られるけど19なんだよ~。」
「あ、僕も19歳です。一緒ですね!」

その時お姉さんが戻ってきた。
「ごめん、ちょっとトラブル発生!私車拾って行くから~!これ代金!領収書もらうのよ!
悪いけど姫ちゃん、車まで運ぶの手伝ってあげて~」
「え?あ?はいはい~」
いつも落ち着きが無いくせに領収書は忘れないんだから、笑っちゃうな~。
「相変わらずだよねぇ(笑)言葉はきついけど、彼女いい人でしょ。」
「そうですね。優しい人です。」
「あ、そこ暑いでしょ?向こうのベンチで待ってて~」
「僕・・・?」
ひとりは不安なのかな。なんだか子犬みたいなかわいい目が助けを求めてるみたい。
もうお客さん来ないし、一緒に木陰で休んじゃおうか~。

ベンチに座って空を見上げる。
秋の空にうっすらとかかる雲。白く霞んでいるそのところどころから気持ちの良い青色が覗いてる。
街中で見るにはもったいないくらいの青。
少ししか見えない青は、先が見えない未来みたいだ。私はここで・・・

「なにしてるんだろ・・・」
「え?」
「あ、ひとり言!気にしないで~」
本当にやりたい事が何なのか分からないまま、半年が過ぎた。
空を見上げるたび、先送りにしている自分の進路をふと考えてしまう・・・。

「空のね、どこかに自分の星があるって言うでしょ?」
「自分の、ですか?」
「そう。ひろーい夜空を探せば、必ず自分の星があるの。私がまだ小さかったころにね、お父さんが話してくれたんだ。でも、どれだか気づかない人の方が多いって。夢を探すことが難しいって、そう言いたかったのかな・・・。でも、見つけられたら・・・それを目指して進めそうな気がするんだよね。
それで明るい時にもね、つい探しちゃうの。子どもみたいだよね、そんな話まだ信じてるなんて」
「明るい空の星・・・」

人にこんな話をした事はなかったのに。自分でも不思議だけど・・・もう会わない人だから聞いて欲しかったのかもしれないな。その時・・・

隣で彼が、優しく言い聞かせるような声で小さく歌い始めた。
それは知らない歌だったけれど、不安を抱えた私の心を、そっと両手で掬い上げて包んでくれるようで・・・端正な横顔を見つめながら、早くなる胸の鼓動を楽しみながら・・・しばらく心地よいメロディに身をゆだねた。


「歌、うまいんだね。」
「歌手ですよ、僕」
「ええっ!そうか~お姉さんの知り合いだもんね。もっと聞きたいな」
「え?ああ~頼まれると恥ずかしくなります!」
この人は、自分の夢を追いかけてここまできたんだね・・・。
同じ年なのに、私はまだ自分のやりたいことすらわからない。

“急がなくていいんだよ、ゆっくり、ゆっくり行こうよ・・・”
言葉はわからないけれど、そんな風に囁いてくれる柔らかな歌声だった。



「兄さん、お待たせ!すぐ盛り付けるね」
せっかくの雰囲気をぶち壊したのは、情緒のかけらも無い兄貴の声だ。まったくなぁ・・・。
「あの・・・前のときはシールが貼ってありましたよね?」
「え?ああ、あれ!でも今日は全部一緒だから中身間違えないでしょ」
「貼って欲しいです~」
「変なこと言うねぇ。お~い、付箋つけて欲しいって!」

何種類か買っていく人には、中身が分かるように付箋をつけるんだけど、
私は自分専用のハートの付箋をつけてるんだ♪
短いメッセージは、戻ってこない紙飛行機みたいなものだけど、
たとえ捨てられるとわかっていても、言葉に何かを託したい・・・。
小さなメッセージを書くことが、自分の楽しみでもあるのよね。
「じゃあ一緒に手伝ってくれる?書いたら渡すから、貼って3つずつ袋に入れるの」
「はい!お店の人になったみたいで楽しそうですね」
「お前、何お客さんに手伝わせてんだよ。怖い姉さまに叱られるぞ」
何だか人を和ませる不思議な雰囲気の子。さりげなく隣に並んで作業をする姿は違和感無いよ。でもいいのかなぁ?歌手ってさ、芸能人ってことじゃん。こんなことしてていいのかな。


足の長い彼は、私に合わせてゆっくり歩いてくれた。
両手に下げてバランス取ってるけど結構重いんだよね。おまけに大盛りだし。
ふと顔を上げると、ついこの間までなまぬるかった風が、今日は心地良く頬をなでていく。
さっきの歌で、顔がほてっちゃったからかな?
下を向いてちゃ、星は見つからないんだよね・・・。


車は、最初の角を曲がったところに停まっていた。
「じゃ、ここで。また近くに着たら寄ってくださいね!さよならっっ」

自分の胸のうちをを見せてしまったことが急に恥ずかしくなって、走って帰ってきちゃった。
なんだか妙に普通で、穏やかな子だったな・・・。
あの歌・・・なんだか心地よくて・・・また聞ける時があるのかな・・・。


夢というほどのものもまだなくて、ただ何となく日々を過ごす自分にイライラしていた・・・
あの子は、夢を実現させるために日本に来たのかな?怖いことはなかったの?
不安で押しつぶされそうにならなかった?その優しさは、辛さを知っているから?
今度もしお店に来ることがあるなら・・・あるかな・・・聞いてみようか?
あなたの歌声に、優しさと強さを感じたから。
by kayo124124 | 2007-10-08 19:30 | TVXQ 別室
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のんびり主婦の日常と、大好き韓国ドラマ日記☆・・・・・・いらっしゃいませ~カコです♪ ドラマ記事最近少ないって?(^^;)

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